六華花
夜明け時、蔵王連峰瀧山の上空に、常に鉛色の雲が留まっているからだ。
日の出の時刻に陽は遮られ、闇の残り香が、街のあちこちに
澱のように残っている。
陽が高く昇っても、雪雲が空一面を覆ってしまう。
重なる雪雲が街を隠し、その総てを灰色に染め上げる。
そして今日もまた、牡丹雪が空から舞い降りる。
しかし最早、雪は根雪にはならない。
翌朝までには消え、甘く馥郁たる冷気の残滓だけが居残る。
木々の芽吹きも、既にそこまでやって来ているのかもしれない。
by myst_1990 | 2015-02-28 21:00 | 雑記 | Comments(0)